ここまで無策とは。。。

 オシム前監督が倒れ、岡田武史氏がサッカー日本代表監督に就任したとき、僕は好意的に迎えた。
 それは、日本サッカー協会が何の準備もしておらず、あのタイミングでは岡田氏くらいしか見当たらなかったこと、また、本大会出場が絶対条件であり、「リアリスト」であることが適当であると考えたからだ。
 果たして、予選は突破できた。

 そこで監督を考え直すことは。。。難しかったのか。

 昨日の対オランダ戦。

 練習中、稲本潤一に削られて負傷した岩政大樹はともかくとして、前田遼一が先発に名を連ねないことは残念だった。負傷がちな選手ではあれが、フィニッシャーとしての能力は、日本随一だと思っているからだ。
 
 僕は、この試合、本大会までの数少ない「本格的」なシミュレーションのチャンスだと思っていた。
 コンフェデレーションズカップを逃した日本にとって、本気の強豪国と闘えるチャンスはそうはない。

 ドイツ・ワールドカップでの失敗は、フィジカル・コンディションの調整の失敗、レギュラー組と控え組の溝、ディフェンスの構築の失敗など、さまざまなものがある。
 が、あえて結果から逆算するならば、緒戦に敗れたことですべてのプランを失った。
 逆に言えば、強豪国が長い大会の後半にピークをもっていくのとは違い、日本は緒戦にピークをぶつけるしか術はない。
 一戦必勝、それがこのオランダ相手に通じるか?だ。

 キックオフ直後からのハイプレッシャーで、日本はオランダを辟易させた。
 
 整理でききれていない中盤にポッカリと空いたスペースを起点として、日本は組み立てをはかる。が、オランダの最後の砦はそう簡単には崩せず、また、残念ながらそこまでの精度が日本のアタッカー陣にはない。

 守備においては、前からのプレッシングが効き、長谷部誠遠藤保仁らがボールを奪う。
 また、オランダの「売り」でもあるウィンガー陣を、際どいながらも内田篤人らが抑え、「あの」ロッペンをベンチに追いやった。
 (いや〜、ロッペッンとの競争で篤人が勝って身体を入れて防いだシーンは僕的にはハイライトでした)

 僕はサッカー仲間と、「今日は面白いね〜」とメールを交わし合った。
 そしてお互い、「このペースだと日本はガス欠する。それからどうするか?」との共通認識で、後半を迎えた。。。が。。。

 なんやねん!その無策っぷりは(怒)!

 後半開始後の日本は、前半以上に選手間の距離を縮め、ショートパスでの切り崩しを狙っているように思われた。
 でも、僕からすれば「調子に乗り過ぎ」に思われた。

 「格上」のオランダに対する、猛烈なプレッシャーをキックオフ直後から敢行してオランダを慌てさせる。
 それで点がとれれば良かったが。。。
 
 慌てていた「だけ」のオランダは、ハーフタイムに修正をはかってくるはず。
 それを見越して、後半は無理に前からプレッシングをかけず、「発破」をかけられ点をとりにくるオランダに対してカウンターを挑むと思っていた。
 そのためには、ある程度の放り込みに対抗するために、上背のある中盤を入れ、前を2トップにかえて、3ラインをしっかり敷いて。。。

 の気配はまるで無し!

 プレッシングはスタミナを消耗し、絶対に90分間は持続できない。
 それはセオリーであり、常識だ。
 なればこそ、プレスをかける時、プレスをかけるゾーン、無理に追わずにじっくりと構えるとき、相手にある程度ボールを回させるとき、自らがボールをもちながら無理に攻めずにボールを回す時などなど、めりはりをつけながら、90分間を「もたせる」のだ。90分間で11〜12キロ、主力になると13〜14キロは走ると言われるこの過酷なスポーツで、交代枠はたったの三人分しかない。
 「行けるところまで行け」で行ったとして、キーパーをのぞいた10人のうち、かえられるのはたったの三人なのである。
 
 行けるところまで行く、って、それは勇気なんかじゃない。
 蛮勇にすら、ほど遠い。
 それは、無着であり、「最後まで走れない」と選手に責任を転嫁した、無策でしかない。
 それどころか、交代枠を二人分しか使わない。
 親善試合であり、交代枠は多めにあった。でも、本番シミュレーションとしても、もう一人使えたのだ。
交代に関するインタビュー*1を読んで愕然とする。

 果たして、日本は惨敗した。

 得た事は何も無いに等しい。

 90分間はプレッシングがもたないこと。
 そんなもんははじめっからわかっている。
 そのわかっていることを確かめるのに、貴重な試合を費やした。

 残念ながら、いまから監督交代は間に合うまい。
 
 だが、「コーチ」をつけることは、まだ可能なはず。
 それが岡田監督のメンツをつぶすとしても、だ。
 メンツよりも大切なことが、そこにはあるはずだから、だ。