(いままでのところ)ベスト・ゲーム

 まだまだパスミスもある。それで逆襲を食らった。マークの受け渡しにも疑問が残る。それでも、今シーズン、ようやく光が観えるかも、と思わせてくれた試合だった。
キックオフ直後、鹿島が猛攻を見せるも、やがて清水が落ち着きをとりもどす。やはり、清水の選手たちは上手い。小気味よくパスをつないでは、鹿島ゴールに迫る。セービングに関しては、曽ヶ端は素晴らしい。再三のファインセーブが鹿島を救う。そんな中でのヤナギの得点が生まれたわけだ。この1点は、劣勢をくつがえす起爆剤になるだけでなく、スタメン復帰の野沢に「アシスト」という結果をもたらしたわけで、さすがに「主将!」と言わせていただく。
 前半39分の失点は、勉強になる。この日も溌剌としたプレーで湧かせてくれた内田篤人が右サイドを駆け上がり、センタリングを放り込むも、相手DFに防がれる。そこからのカウンターなわけだが、チームとしての、鹿島の攻→守の切り替えが遅いのか?内田が上がった後ろを突かれるわけで、最初は人が足りないし、陣形が片寄っているのはわかるけど、そんなに速いカウンターじゃなかったし、結果的に人数的には足りたのだし、受け渡しがもう少しうまくいけば...って、帰陣しながらの受け渡し、って難しいけど。結果、左から右に大きく展開したボールを市川大祐が思いっきり蹴って、詰めてきて新井場徹股間を抜けて、曽ヶ端の右手をかすめるようにスライスしてゴールになるのだが...まず、曽ヶ端に罪は無い。新井場は、右を攻められているので絞った形で相手アタッカーをマーク。左をケアするべきダニーロが間に合わない、ってかダニーロが真ん中を走って帰ってくる形になったので、市川をケアする選手がいなかったのだが、大外をケアする選手として、市川にボールを回される「かもしれない」というアンティシペーションが働いていたら...しかもこのパス、ダニーロの足にひっかかって、若干コースが変わってスピードも落ちてるし、新井場の足ならマイボールに...って思えるのは、テレビで俯瞰したところから観てるからかもしれないが。
 そんな中でのハーフタイム>後半の流れだったので、後半早々のヤナギの得点は、何回も言うけどさすが主将と言わせていただきます。
 さて、チーム全体で言うと、中盤はダイヤモンド。中後のワンボランチインサイドハーフの、右に今期初スタメンの野沢、左に本山雅志、トップ下にダニーロで始まるも、野沢のキレキレぶりを観たオリヴェイラ監督が、野沢をトップ下に、ダニーロを左、本山を右に変更。これが攻撃では奏功するわけだが、守備となると、ダニーロの運動量の無さがちょいとキツイ。新井場徹も守備が軽いときがあるから、ちょいと不安。不安と言えば、先発メンバー発表のメールにファボンがいなかったので驚いたが、数日前の練習で、足の付け根を痛めたそうで。で、CBには青木剛が入るのだけど、僕はラッキーと思った。ファボン岩政大樹は似たようなタイプなので、フェルナンジーニョ相手には、むしろどちらかに代えて、青木が良いのでは、と思ったからだ。で、青木も岩政も奮闘して、フェルとチョ・ジェジンの調子を出させないまま交代に追いやることに成功する。その岩政の圧巻は、タイムアップ直前のプレー。パワープレイを敢行する清水のロングボールをことごとく跳ね返す。最後は、左右に挟まれながらもヘディングでクリアー、頭を打ったのか倒れ込んでホイッスル。その後立ち上がったので、大丈夫だと思うけど。ところで、清水は一回だけ内田めがけて放り込んだけど、そっちが正解。岩政めがけて放り込んでどうする?*1。内田は、良い意味で、いつものアツト。この日もアナウンサーから、A代表、U-22 、U-20(19?)のかけもち、と言われていたが、注目を浴びる中で、すくすくと育ってほしい(照笑)。
 最近、地味な役回りが多い本山雅志は、この日も奮闘。中盤をボックスに代えて、もうちょい本山を前で使ってほしい...けど、腐ることなく本山は奮闘中。前節あたりから坊主頭だが、ほんとうに奮闘中。ヤナギといい、本山といい、僕は昨年の後半あたりからチームを引っ張る姿勢を感じているのだが。
 中後は、これがウワサの展開力か?と思わせてくれるパスもあったが、とんでもないパスミスも...う〜む。
 ダニーロは、少しづつ良くなっているが...野沢、本山、増田誓志、中後で良いのでは?
 マルキーニョスは、もち過ぎかなぁ、と思うときもあるけど、鹿島に合うね、あの一生懸命さ。また、マルキもサイドに流れるタイプだからかなぁ?必然的にヤナギが中央に来て、それで得点に結びついているのかも。中盤とのからみがあってのことだけど、相手CBにとって、マルキとヤナギを同時に「みる」のはたいへんだと思う。
 野沢。やっぱりあなたがいないと...。リズムが生まれるし、得点の気配漂うし、中後には悪いがCKでもね...。90分闘えるコンディションを整えて、A代表に!

 話はもどり、清水は強い。2点目を得て、鹿島は落ち着くときもあったけど、清水の猛攻はさすが。互いの闘志は、時に荒れそうな気配を含みながらも、やがて消耗戦へ。こうなると鹿島はボールをまわしながらのカウンターを狙うけど、DFを突破してもしっかりと伊東輝悦がカバーに走り込んでいたり。アレックスの時代に、相当やられた記憶があるのだけれど、ここ数年、鹿島は清水に負けなしなんだそうで。相性の良さ?いえいえ、この日の鹿島、ねばり強く身体を張った守備は、勝利への意志を体現していたよね。そして、FWの決定力の差!*2

 MVPは、主将でしょう。そう言えば、長谷川健太監督が解説者のとき、けっこうヤナギを褒めてたよな。そのヤナギ、相手と交錯したときに、ちょっと足を痛めたためか、途中で交代したけれど、今宵は完璧でしょ?あの2つの、相手DFの背後に回り込んでの巧なゴール。そして、現地で声援を送り続けたサポーターの皆さん、ありがとうございます!テレビ越しに、みなさんの想いが伝わってきました!
 

*1:実際は、内田のエリアでも、岩政のお助けヘッドが炸裂することが多い

*2:鹿島でこの表現が使えるなんて!