日本代表戦をもはやいつものようにビデオ観戦。お疲れモードのスコットランドはドン引きで、日本がつっかかる展開でスタート。相手がドン引きなのに、一本調子の日本の攻めに閉口。
「あえて、ひいて、相手をおびき出して、裏を狙えばいいのに」
それでも、ヤットや、加地の目の覚めるような「幻の左」のミドル弾に、期待を感じる。こうやって、相手守備陣を引きずり出せば...ところで、三都主、4バックとは言え、上がるときは上がっていいんだぞ。そして、相変わらずつっかかるばかりの日本攻撃陣、とくに小野と満男に...あれ?と気づかされた。
「こいつら...(良い意味で)遊んでやがる...」
 試合開始直後、小笠原満男は、後方からのパスをキープしようとするが、相手につぶされたが、ファウルの笛はならなかった。思い返してみれば、「今日はこの程度では審判は笛を吹いてくれない」と線引きをしたのだろう。その後のビルドアップにかかったとき、相手のDFが当たってくる前にダイレクトプレーでかわす。文字通り長身DFが林立する相手陣深くで、小野や満男のチャレンジが続く。
 その時、僕はふと、センチメンタルな気分になった。
 この試合は、代表選出前の、最後の試合。選ばれない選手のことも考えると、この試合がひとつの集大成でもあり、「惜別」の試合でもあるんだよ、いままで築きあげてきたジーコ・ジャパンの。そりゃ満男とシンジは当確だろうけど、ともにピッチに立つ可能性はどの程度あるのか...?そんなこと考えると、ホスト国として勝たなければいけない試合だけれど、それでも、ね...選手たちがピッチというキャンバスに、思うがままに画を描いてくれればいいかな、と。
 やがてスコットランド守備陣の間隙をぬい、満男たちのシュートがゴールを強襲するが、瀬戸際で集中力を発揮するスコットランドDF陣に防がれる。
 そして後半。スコットランドの攻撃が開始される。肘うち食らった中沢が退き、急遽坪井が出場。そのときのシーンがね...印象に残る。ベンチで出番を待つ控え選手たちとハイタッチを交わし、スタッフとも、そしてジーコともタッチしてピッチへ。そのひきしまった坪井の表情は、「俺にお鉢がまわってきた」的なエゴイスティックなものではなく、ただ、勝つために、自分のために、チームのために、そして、負傷した中沢のために。
 ジーコ・ジャパン。たしかに問題は山積だ。だが、ここまで、互いにライバルでありながらも、一体感を醸し出したナショナル・チームはちょっと無いんじゃないか?この信頼感、クラブ・チーム級だぜ?
 スコットランドの攻勢に苦しみ、中沢の負傷というアクシデントの後、満男だよな..審判の前で見事に転ばされて、ファウルをゲット。ゴールからかなり遠い位置で、ボールをプレスして満男やシンジが笑ってるんですよ。
「やるね」
と思ったとおりのゴール強襲直接シュート。キーパーに弾かれたけど。
 結局、スコアレス・ドローだったし、寿人が入ったときに、もっと効率よく裏を狙えればとか思ったけど、宮本や坪井たちが当たり負けしないくらいの奮闘もしたし、観るべきものも多かったと思う。なんか、まんまジーコの感想になっちゃうけど、結果は不満足だけど、いままで積み上げてきたものは披露できたと思うよ。
 さて、いよいよ23人が発表される。
 いまは、ね、眠れない夜を迎える選手たちはそっとしておいてあげよう。
 でもね、これだけは言っておきたい。
 どんな23人が選ばれるか、ではなくて、
 「誰が落ちるか?」
 にフォーカスする一部のメディアの連中は「糞」である、と。