吉野金次の復帰を願う

 僕は佐野元春の『SOMEDAY』というアルバムを、とくに『ロックンロール・ナイト』を聴いた時の不思議な感覚を、今でも覚えている。
 僕の身体は意味を無くし、その音楽に身を任せながら、「行ったことすらない」のに「いつもそこにいる」と感じる「街」に溶けていった。
 場所も時間も意味を無くし、ただそこにある、「何か」だけを感じた。
 その「何か」は、僕という「個」なのか、「個」をとりまく社会、世界、はたまた、全存在なのか、それすらもわからないのに、
 アルバムを聴き終えた僕は、聴き始める前の僕ではなくなった、ということだけは、はっきりと自覚した。

 そして、そのアルバムを生み出したスタッフの一人が、闘病中とのことだ。
 
 佐野や、彼の音楽に興味を持たない方でも、一度下記のインタビューを読んでいただきたい。
 シニカルなもの言いをすれば、いま、これほどまでにクレイジーなパッションをもって生み出されるアルバム、って、
 どれほどあるのだろうか、と。
 
では、以下に佐野元春のオフィシャル・サイトから引用させていただく。

■吉野金次の復帰を願う緊急コンサートに出演
8月28日、「レコーディングエンジニア吉野金次の復帰を願う緊急コンサート」が東京・下北沢の北沢タウンホールで開催され、急遽、元春が出演、80年代吉野氏が手がけた「サムデイ」をソロで唄った。70年代から日本のフォーク&ロック・シーンにおける数々の名盤を手掛けてきたレコーディング・エンジニア、吉野金次。今春、脳出血で倒れてしまった彼の1日も早い回復と現場復帰を願い、矢野顕子の呼び掛けによって開催されたチャリティー・コンサートだ。ライブの収益は治療費として充てる。この夜の出演は、細野晴臣+東京シャイネス & ハリー・ホソノ・クィンテット、井上陽水友部正人大貫妙子、ゆず他。
関連サイト
矢野顕子のオフィシャルサイト
【Go URL】---> http://www.akikoyano.com
吉野金次インタビュー
【Go URL】---> http://www.moto.co.jp/SOMEDAY/wire/03.html