「反吐が出るほど自由が好きさ」by 中村敦

 「ドーハの悲劇」をテレビで観た僕ではあるが、日本代表への思い入れは「98年フランス・ワールドカップ」から一層強くなったと思う。とかく、今の代表はトルシエ時代と比較されたり、トルシエ時代がベースと言われたりするが、むしろ98年大会の本大会の布陣に似ているとも思う。あの時は、中田英寿が攻撃の核であり、そのヒデを活かすために名波浩がフォローし、その二人とのバランスをとりながら「気の利いた」プレーを敢行した山口素弘がいた。その山口がフランスで表現しきれなかったと悔やむ「勇気」。その勇気をもってして、ドイツの地でジ−コに与えられた「自由」を享受してほしい。なぜなら、その自由から創造されたプレーこそが、相手の守備網を切り裂けるのだから。

 クラブ・チームにはエンタテイメントを。ナショナル・チームの「予選」にはリアリズムを。そして、ナショナル・チームの本戦には夢を。


 ミスを恐れるな。果敢に挑戦するあなた達だからこそ、僕は興奮する。
 あきらめるな。決して膝を屈しないあなた達だからこそ、僕は応援する。
 立ち止まるな。勝利の女神を振り向かせるには、走り続けろ。
 口で言うのはたやすいことだが、敢えて言う、つまるところ、相手より1点でも多くとれ、と。
 
先のドイツ戦で強く思ったのは、日本代表にはまだまだ伸びしろがある。
そのためには、一戦でも多く。
そのためには、勝利を。
困難なグループリーグを突破して、決勝トーナメントを駆け上がれ!


今大会、「日本代表のサッカー像」を、内外に示す格好に機会になるような気がする。
「自由」と「勇気」
そんな抽象的なイメージが、ゴールという、勝利という、「画」として描かれることを祈って。

最後に。
代表チームに中田英寿がいるということのありがたみを今一度、噛み締めよう。
http://nakata.net/jp/hidesmail/hml275.htm