我らが鹿島アントラーズが、難敵、サンフレッチェ広島をアウェイの地で4-3と下し、開幕を勝利で飾った。らしくない「ゆるみ」からの失点もあったが、新監督、パウロ・アウトゥオリを迎え、まだまだチームを熟成中ということを考えると、よくやっったと思うし、なんだかんだ言っても、セレーゾ時代の蓄積もあったわけだし。守備ではそんな甘さもあったが攻撃は...面白かった!昨年前半も、アレックス・ミネイロ野沢拓也本山雅志小笠原満男のパスワークと流動的なポジション・チェンジが効いたわけだが、今日は、(アレミネやフェルナンドが故障明けも間もないということもあり)2トップはの復帰したばかりの柳沢敦と本山、2列目が小笠原と深井が縦横無尽に動き、かつ、両サイドバックの上がりもあり、サイドチェンジもあり〜の、ダブル・ボランチが交代するようにダイナミックに前にばく進し...。
 柳沢敦が活躍するのはわかっていた。イタリアでは、諸般の事情で出場すらおぼつかなかったが、それでもたまに観る日本代表での動きから成長のあとはみてとれた...とは言え、それ以上だったかも。持ち前の動き出しの疾さに加え、力強さが増した。相手DF一人ぐらいなら余裕で背負ってキープ。二人程度でも、ハタいてつなぎ、そして一点目のヘディングは、相手GKの下田が若干遅れたとは言え、その下田をはじき飛ばして自分は余裕の着地のゴールだった。三点目のオーバーヘッドにはシビレたね。(NHKの新サッカー番組「Jリーグタイム」のアシスタント、枦山南美さんにオーバーヘッドの意味を知らしめた効果もあったっぽいし(苦笑))そして何より、94分間攻守にわたって存在感を示したのは圧巻だった。
 もう一人、攻守にわたって圧巻だったのは、やはり小笠原満男。自らがボールを失うことはまず無いし、相手が攻撃に転じた瞬間も効果的にチェックをかけて遅らせるし、ときおりその読みを活かしてパス・カットをかました。そして、こんなに良い本山も久しぶり!柳沢の2点目、深井が起点となり、相手ゴール前を本山→小笠原→柳沢が流し込んだシーンは美しかった。ただ、終盤には消えたね。交代は止むなし。
 「(誰にでも)何にだってデニューはある」と、監督に送り出された高卒ルーキー、内田篤人サイドバックは、マークがズレたらセンターバックのように体を張らなければいけないわけで、もう少し、当たりが強くなってくれば...と思うシーンがあったが...それ以外は完璧!しかもトイメンは服部だぞ!そもそも今日の先制点、小笠原のPKは、内田のドリブル・アタックが、エリア内でファウルを誘ったためだ。いや、ほんと、さっきあげたこと以外は問題無いどころか、ほんと、完璧!守備時のマークの受け渡しも良かったね。コンビネーションもすでにできてるよ。
 今回の監督の采配の妙は、ボランチ増田誓志。フェルナンドが怪我あがり、ということもあり、この若きオールラウンダーを中盤の底に据えたが、効いてたね。増田がそこにいるからこそ、小笠原も自由に動けたし。ボランチといえば、青木剛もダイナミックな動きを見せてくれた。今期はボランチ一本でいけるんじゃない?
 曽ヶ端の負傷でキーパーは小澤だったけど、最初のピンチを凌いだのが効いた。また、言わなくても当たり前、って感じだけど、深井正樹は大暴れ。新井場徹もいつになく良く、二人で左からよく崩していた。
 本日、やはり(?)スピードに難あり、ってところを見せてしまった岩・岩コンビは5,5ぐらいかもしれないが、他のスタメンは、余裕で6,0以上。何だかんだいって、「J」以上を見せつけた柳沢と小笠原、新人らしい初々しさと、新人らしからぬ落ち着きと思い切りの良さを見せつけた内田篤人、この三人に「サッカーダイジェスト」誌「サッカーマガジン」誌が何点をつけるのか楽しみです。
 そして、アウトゥオリ監督...かっこいい...交代で下がってきた深井に握手を求めるシーンをテレビで観たが、ちゃんと手袋を外していた。その言動から、甘い人ではなく、厳しい人だとは思う。が、選手をリスペクトする気持ち、それは本物だ。開幕前のカンファレンスで、「不安がいっぱいある」と苦笑するガンバ大阪西野監督を「選手を信じることから全てが始まる」とピシャリと鼻白ませたこの監督、本物だ。また、正直な方でもある。自身のピークはまだ「先」であると考え、ヨーロッパのビッグ・クラブへのチャレンジの前の、経験の場としての鹿島でのキャリアを重ねることを選んだことを、正直に述べていた。そう言ってくれるからこそ、「世界一監督」が、鹿島に来たとしても腑に落ちる。ま、陰のエージェント(本業は、どこかの国の代表監督らしい)との会談も効いていたらしいけどね。で、ヨーロッパのビッグ・クラブへ行くには、Jで勝たなきゃ始まらないわけで。