短期集中連載『ラジオと僕』 その七 久川 綾 編 その四

 三回目は、1999年だったかなぁ..松野大紀さんという方のラジオ番組の公開録音が京都の太秦の映画村であり、そのゲストが綾さんということで、まだまだ寒さが残る3月の末に京都に行ってきました。で、僕は自他ともにみとめるスーパー方向音痴なので、めちゃくちゃ早い時間に出発、幸運にも何ごともなくたどりついたので、イベント開始のはるか前、むしろ映画村自体がようやく開くぐらいの時間についてしまいました。
 とりあえず、入っておこうかな、と入り口に向かって歩いていると、奇妙な三人組に出くわしました。1人は、スーツ姿のしゃきっとした感じのおじさま。1人は、ちょっと小柄な男性で、派手な衣装に場違いとも思えるサングラス。そして、ブルージーンズに白いダウンジャケットの、ちょっと背が高めの女性。すらりとして、かわいいかも、と思わせてくれるけど、かわいそうに、花粉症のためか大きなマスクをしてるかわ顔がわからない。ただ、そのマスクのためもあってか、まるでオシャレじゃない...というか、やぼったいというか、素朴というか...僕もオシャレに関しちゃ他人のことを言えませんが、「オデカケ」の時ぐらい、ちょっとはバシっとしますよ(ホントカ?)
 そんなアンバランスな三人組の横を通り過ぎようとしたとき、僕の耳にスベリ込んできたのが、聞き覚えのある声!そうです、その女性が綾さんだったのです。で、サングラスの男性が松野さんで、ということはスーツの方は、事務所の方かな?(アシスタントの有島もゆさんは、そこにはいらっしゃいませんでした)なんか、打ち合わせのように早口でしゃべっておいでだったのですが、声優の方って、ほんんとに声が通るから、わかるんですよね、少し離れていても。僕は一旦通りすぎた後、話し掛けるべきか否か、迷いましたが、挨拶をしないのも失礼かな、と思って、お三方の方へ戻ってみました。とは言え、やはり打ち合わせ中かもしれず、どうやって声をかけようかな...と悩みながら近付くと、僕が口を開く前に綾さんの方から「おはようございますっ!」って、メチャクチャさわやかなあいさつが!
 後できいたのですが、綾さんは、ものすごく礼儀正しい。それは、綾さんが大先輩の野沢雅子さん(『銀河鉄道999』の鉄郎など)にはじめてあいさつした時に、それまで座っていた野沢さんがわざわざ立ち上がって、(新人の)綾さんに丁寧にごあいさつされたことに感動し、それ以降、綾さん自身も自分の後輩に挨拶されたときには丁寧にお返しするようになったくらい、キチっとした方なのです。
 もっとも、傍らに松野さんがいらしてお邪魔になっても申し訳ないので、早々にその場を辞しました。(それに、いくら目が笑っていても、マスクしてたから綾さんの表情が読めね〜!とは言え、自己紹介すると、「わざわざ、遠くからご苦労さまです!」って、いやいやそれはこっちの台詞です)
 なお、イベント本番のときには最前列に座っていたのですが、松野さんが歌いながら舞台をおりてきて、僕の膝の上に座って歌い続けたのです!思わず、後ろから手をまわしてだっこするように抱き締めちゃいました。朝、お会いしたとき、もう1人の方とお話しされていたので、あえて話し掛けなかったのですが、ひょっとして僕のことを憶えていてくれたのかもしれません。僕が男性を抱いたのは、それが最初で最後です(あたりまえっちゅうねん)。
 そんな久川 綾さんが、この春スタートしたNHK-BS2(火曜日午後6時)のアニメ、『十二国記』で、主役を演じることになりました。すでに第一回の放送は終了したのですが、重厚なストーリーにひけをとらない画と演技、要チェックです。
 綾さん演じる「中島陽子」は、委員長をまかされるような生真面目な女子高生。でも、いじめられている同級生を見ては気にはなっても、自らもはいじめられことが恐くて何もできない...もともと赤毛の髪を、母から黒く染められる様になると、不満を感じながらも従わざるを得ない...でも美容室まで行くと、やはり思いなやんでしまう...そんなことなかれ主義的な女の子が異世界に飛ばされて...というお話です。
 意外なことに、(ビデオシリーズではありましたが)テレビ初主演となる綾さん、実は昨年のFCイベントのときに「テレビアニメの主役を勝ち取ります」宣言をして一年あまりで成就させるなんて、やっぱスゴイです...
 え〜、綾さんのことを語り出すときりがないのですが、本題のラジオとも思いっきり離れてきたので、ひとまずはお開き!ただ、綾さんとの付き合いは、一生続くだろうなぁ...次回は、(いつになるかわかりませんが)、國府田マリ子さん、ではないですよ〜、あの方はこのシリーズの大トリですから。一旦、高知編にもどって、その次にあの芥川賞作家をやらねばね、「オ〜ケイ、ベイビー、モンダイな〜い!」とか吠えてた方ね...

旧日記『つらづら草』より転載