スピカ5

 じっくり腰を据えて書きたいネタがいろいろありますが、佐野元春さんのZEPP大阪のライブは素晴らしかったし。

 今回は、まずは『ふたつのスピカ』について。。。

 最終回「も」素晴らしかった。。。(メディアの位置づけが少々あざとかったけど)

 スピカ5(スピカ・ファイブ)*1も素晴らしかったけど、彼女たちを見守る大人たちの描き方もいい。
 田辺誠一さんがご自身のサイト(http://tanave.com/)の7/16のコメントで、「まわりの大人が意外にも夢中になっていて、
あらためて青春と呼ばれる時代の大切さと輝きを感じます」とおっしゃっているのもよくわかる。

 炭火のような暖かさにあふれた原作とはひと味違い、緊迫感やほとばしる想い、この年代この瞬間に集まった五人だから
醸し出せる「ケミストリー」。
 桜庭ななみ中村優一、大東俊介足立梨花高山侑子。当たり前のことだが、この中の誰が欠けてもこの空気は出せなかっただろう。

 桜庭ななみはこのドラマで、何度も泣くシーンがあったが、そのどれもが表情が違う。
 また、友人から厳しい言葉を浴びせかけられるときに一瞬「ムッ」という顔をしたとき、こういうナイーブなお演技ができるのはスゴイなぁ、と思った。

 中村優一の、クールであえてちゃらけて見せて、そして最終回でのiPhoneでのビデオメールで魅せる、嗚咽とともに吐き出す本音。
 「鈴木秋」の煌めきがあればこそ、「鴨川アスミ」がより一層光を増したと思う。それほどまでの熱演だった。

 大東俊介高山侑子が醸し出す「普通っぽさ」。もっとも、実際は「普通」レベルじゃないんだけど。
 第六話で大東演じる府中野の檄で、高山演じる圭が走り出し、秋を想って爆涙するシーンは間違いなくハイライトのひとつだ。
 にしても、五年後の府中野がカッコよすぎる。。。フッチーのくせに(苦笑)。。。てか、これが大東さんの「素」?

 そして、クールな宇喜多万里香が、悔しさをにじませ、アスミに「あなたも」と、宇宙への決意を語る第二話のプールサイドでのシーンも良かった。

 スタッフの方のブログによれば、アスミが宇宙学校を巣立つときの台詞、演技は、彼女たちに任されたらしいんだけど、わずか七話のドラマで
 そこまでの信頼関係が築き上げられたということだけでも、どのくら凝縮された撮影だったのか、想像できる気がする。

 スピカ5をとりまく人達も良かった。
 ある意味、もっとも振り幅の大きかった桐生春樹を演じた向井理。最終回の「夢を掴むということは、他の大切なものを手放すということ」も台詞が耳に痛い。
 冷徹だが実は教師としての責任感を強くもった佐野貴仁を演じた田辺誠一。彼自身の人間性回復のドラマとも言えるストーリーだった。
 頑な心がアスミ達によって溶かされていき、文科省との方針の対立から学校を去ってからは人生の先輩として彼らを支えた。
 逆に、本上まなみ演じる拝島は、のほほんとした雰囲気ではじまりながらも、アスミが夢に近づくにつれ、現役宇宙飛行士として厳しさを伝えていくことになる。
 自らも教員志望だったというゴルゴ松本(TIM)は一貫して生徒を信じ続ける大西を公演した。
 そんな教員集団をバランスよくみまもる塩見を演じるかとうかず子が醸し出す安心感は、さすがベテラン。それにマイクを前にしたときにわざと素人っぽい演技とかもさすが。
 アスミの父、鴨川友朗を演じた高嶋政宏。煮え切らない「お父さん」という感じだったが、なればこそ、最後に、そしてしっかりと、娘の背中を押すときの演技が際立った。

 プロデューサー、橘康仁氏がテーマとする「この地球のどこかで、誰かが踏ん張っている」

 そんな想いはこの作品で見事に表現されたと思う。

 アスミが見つめる先が光となり、主題歌のORANGE RANGEの「瞳の先に〜」とつながるラスト・シーン。
 視聴率わずか3%強。でも、もっと多くの方に、観てほしいと思える作品に出会えて幸せでした。







 ええっと。。。いずれまた、スピカについては書きますね。。。

*1:勝手に命名しました