挑戦は続く

 蒼いユニフォームを包み込む、紅過ぎる夕焼けが、美しかった。否、彼らのサッカーを引き立てていた。
 FIFA U-20ワールドカップ カナダ2007に出場したU-20日本代表は7月11日、決勝トーナメント初戦でU-20チェコ代表と対戦し、惜しくもPK戦で敗退した。WEB上では、またぞろ「戦犯」探しに躍起になっていたようだが、何をやってんだか。カナダの地で、まるでホームのような支持を得られたのは、彼らのサッカーの素晴らしさからだ。そう意味では、本山雅志小野伸二小笠原満男らを擁したナイジェリア組を思い出すが、彼らのパフォーマンスはそれを凌いでいたと思う。レギュラーメンバーのは、各チームでスタメンどころか、中核を担う選手だった。お恥ずかしながら、我らが鹿島アントラーズ内田篤人を送り出した後は攻守にわたってバランスを崩したほどだ。
 何度も繰り返し言うが、相手だって必死なんだ。相手のチェコは、全員がマルガリータ気味に頭を刈るほど、気合いを入れて挑みかかってきた。日本がリードしてからも、ラインを高く保つべき...それはその通り!だが、上げ続けることは簡単なことではない。こと、相手が大きく強く、それに(そこそこだとしても)スピードがあれば、身体がへとへとになるだけでなく、頭もフル回転しなければいけないわけで、そういった「疲れ」がボディブローのように効いてくる。それでも劣勢に堪え、延長戦でも果敢に走り、勝負した選手達に拍手を送りたい。
 ところで、サッカーや、バスケット・ボールのようなフォーメンション・スポーツのポイントとして、「いかに(自分たちのための)スペースを創出し、スペースを有効に使うか」、「いかに(それぞれの局面において)数的優位を作るか」があると思う。しかし、その前提として、1対1であっさり負けてはいかんともしがたいのである。岡ちゃんこと、岡田武史氏が、常々「行き着く所は1対1」と言っている。
 この「新世代」のU-20は、攻守において「1対1」で勝負し、その上でコンビネーション、サイドチェンジを織り交ぜていた。センターバックの二人ですら、積極的に攻撃をサポートする時は、大きくサイドに寄ったりしていた(無論、そんな時はセンターバックのパートナーや、ボランチがバランスをとっている)。
 そしてこのチェコ戦においても、彼らは自分たちの持ち味を遺憾なく発揮した。
 ただ、彼らに足りなかったたった一つのもの、それが「勝利」だったというわけだ。
 今後、彼らがオリンピック代表に名を連ねていくかはわからない。なぜなら、一気にA代表に入っても不思議でないからだ。掛け持ちはあるかもしれないけれど。そのくらい、楽しみな選手たちであり、愛すべきチームだった。

 さて、このことに触れておきたい。
 サッカーダイジェストで記事にされていたが、「U−20日本代表の選手は、ユニフォームサプライヤーであるスポンサー(アディダス社)のスパイクを契約上の理由で着用せねばならない」という問題があった。日本の選手がつまずいたり、ミスをするたびに、「ひょっとして...」と思ってしまった。それこそ、そのコラムで書かれていたが、スパイク代に苦労する高校生ならともかく、「プロフェッショナル」な選手もいるんだから、スパイクくらい、否、スパイクだからこそ、履き慣れたもので勝負させてほしかった、いくらスポンサーが必要だからとは言え...。