恥ずかしいにもほどがある

 仕事帰り、地下街の書店の軒先(?)に、安倍晋三の『美しい国へ』が平積みされていた。臆面もなく、『美しい国へ』というタイトルをつけてしまうセンスはいかがなものか?と思いつつ、手にとってみたら、目次の項目の多さ、逆に言うと、それぞれに関して中身がうす〜い、ってことに大苦笑。最近の流行なんすかね〜、ビジネスマンあたりが鞄に入れるのに都合の良い大きさの新書判、そして読んでいて決して疲れることのない「軽い」内容。それでいて、読んでると納得しそうに錯覚する罠...あのね、中身が薄いってことは、当たり障りのない範囲でしか書かれていないことも多く、そんな本で安倍晋三をどう語る?って感じなのだけど...ってか、やっぱ、安倍晋三(と、あるいはライターさん)って軽いよね、とは言えるけど。
 そんな中で、僕が子どものころよく観てた西部開拓時(?)のドラマ、『大草原の小さな家』に触れた項目があって、何でも、アメリカ社会における、「家族」の崩壊を、共和党政権も、民主党政権でも、この『大草原の小さな家』をモデルとしてとりあげる「イメージ」戦略で、食い止めたのだそうな。で、日本もそれにみならえ、ってとこらしい。
 いいんじゃない?それで。否、むしろ、いまって学校のカリキュラムに「道徳」教育があるのだろうから、そこでガンガン観てもらえば?って思う。あ、『大草原の小さな家』を礼賛するわけではないですよ。てか、キリスト教的価値観とか、子ども心にピンと来ないところもあったしね。
 僕の印象に残るエピソードを二つ。まず、物語の初期のころ、安住の地を追われたネイティブ・アメリカンが待避中(?)、その「小さな家」に逃げ込むんですよね。その時マイケル・ランドン...じゃないや、チャールズが不在で、妻キャロラインが、娘たちを「守ろう」とするのですよね、ネイティブ・アメリカンたちが「怖い」から。ところが、次女ローラは、ネイティブ・アメリカンたちに偏見をもたず、話しかけるんですよね。それが子どもの頃の僕には、すごく自然に見えて、逆にキャロラインたちは何を怖がっているのだろう、とか思った。
 もう一つのエピドードは、けっこう後半かな?町もにぎやかになり、人も増えてきて、今度は(も?)「人種問題」があるわけで。で、町で火事があり、ある白人の親父が告発されるんですよね。彼は、傍若無人の嫌われ者で、とくにアフロ・アメリカンに対しては、「奴隷解放宣言」の後でも相当差別意識をもって、過酷にあたる人物だったのです。そして、その裁判では、陪審員の中に、彼につらくあたられてアフロ・アメリカンが一人いたのですが、彼をのぞく他の陪審員が有罪とするのに、彼だけが無罪を主張するのです。そして彼は、「我々は、何の罪もないのに酷使され、迫害を受けてきた。そして今、裁判を受けている彼には有罪たる確固とした証拠がない。疑わしいというだけで、彼を有罪とできはしない」...もうね、子どもながらに爆涙ですよ、このシーン(もちろん、記憶をもとにしているので、台詞は正確ではない)。
 僕としては、『大草原の小さな家』というドラマは、たしかにインガルス一家を中心とした話だけど、「家族ドラマ」というより、「コミュニティのドラマ」といった印象が強い。ガーベイ、ベイカー、オルデン...いつも奥さんに尻にしかれているオルソンでさへ、いざという時には頼りになれる存在で。思うんだけど...安倍晋三って、実はあんまりこのドラマを観ていなかったりして(苦笑)。
 あ、そうそう、結局僕は、「美しい国」をワゴンにもどし、別の本を買いました。「『噂の眞相』おかわりっ!」って本で、1360円、講談社より発売中です。観たことないけど、朝日ニュースターの「TV ウワサの眞相」の活字版です。章名だけあげときます。

第1章 ポスト小泉の虚像を剥ぐ
第2章 小泉翼賛内閣の危険な香り
第3章 小泉内閣の「闇」を暴く!
第4章 米軍再編と日米新軍事同盟の深層
第5章 日本はアメリカの従属国か!?
第6章 混迷イラクを操る影
第7章 警察の暗部を探る
第8章 検察ファシズムと「国策捜査
第9章 スパイ国家に突き進む日本の憂鬱
第10章 暴力団の世界を斬る
第11章 皇室事情の裏側に迫る