追悼・後藤田正晴氏

 先に述べておくが、僕は自民党を支持しているわけでもないし、自民党、およびその公認・推薦候補に投票したことはない。

 今夏の、一連の解散騒動の中、「後藤田正晴さんは、どう思われてるのかな?」と、思うときが、たびたびあった。
 後藤田さんは政権の中枢におられた方であり、僕のようなタイプの人間からすると、ぶっちゃけた話、「敵」側の人である。ましてや、田中角栄中曽根康弘といった政権にいたわけだし。それでも、後藤田さんの...たとえば講演会でもあれば、お話を拝聴してみたいな、と思わざるを得ない方だった。
 その後藤田さんが、亡くなったとの報を聴いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050921-00000050-mai-pol

 そんなことを思うようになったのは、久米宏の『ニュースステーション』で、久米さんとの「対話」を時折観てからだった。「敵」であったとしても、最後の最後では...たとえば、「戦争か?平和か?」の二者択一が迫られたときには、絶対に「平和」を選んでくれる、そんな信頼感があった。だから、自民党内のブレーキとしてね、ほんとうに貴重な存在の方だと思っていた。
 上手く言えないけど...考え方が違っても、価値観が違っても、立場が違っても「『人』として、どこかに通じ合うところはある」と思わせてくれる方だった。
 
 後藤田さんを失って痛手を被るのは、むしろ僕のような(どんな、と言っても説明は難しいけど)人間なのかもしれない。