ジョージ・ワシントン (USS George Washington, CVN-73)

 そもそも、アメリカ海軍の空母が、アメリカ国外の基地を事実上の母港として配備さするのは唯一日本に対してのみであり、通常推力のキティホークから代わり、原子力推進の空母が、日本に配備されるのも、この艦が初となる。
 ぶっちゃけた話、通常推進機関だろうと、原子力だろうと、おそらく核兵器を搭載しっぱなしだと思うので、危なっかしいという意味ではさほどかわらないと思っていたが、どうやら相当違うらしい。原子力発電所以上に、艦の原子力機関は出力の上げ下げを行うわけで、中身的にはそうとう危険らいしい。
 麻生首相は「いままで事故がない...」とか言っていたが、それは保証にはならない。また、人為的ミスだって起こり得る。現にこの艦の横須賀港配備が遅れたのは、禁止エリアでの喫煙が原因で、しかも延焼防止が充分に施されていないケーブルをつたって、防火区画で阻止できず延焼が広まったということらしい。
 在日米軍に手厳しいことを言うと、「先日も高知県沖に国籍不明の潜水艦が出没したくらい、日本近海もぶっそうではないか?」という人もいるだろう。たしかに、2008年9月14日、護衛艦「あたご」は二時間におよぶ追跡のあと、ロストしている。だが、2006年だったと思うが、前述のキティホークが、中国の潜水艦に、魚雷の射程距離まで接近されるという「大失態」を演じたことがあるほど、静粛性をもった通常推進型の潜水艦の発見は困難だ。
 軍事のハード面に頼る過度な信頼は、決して平和を保障してくれない。逆に、その軍事力で、隣国を刺激することになり、「平和」から遠ざかることもある。ってか、歴史に学べば軍拡競争で疲弊していった国家があるんだから。